「以心伝心」の旅
個展「片心」から半年。
ずいぶんとSNSやHPから遠ざかってしまっていました…!
個展が終わってから、若干燃え尽きておりましたが、
それでもありがたいことに、いろいろな方からご連絡やご依頼をいただき、
ゆったりとしたペースで活動させていただいておりました。
この半年間の考えもこちらの記事にまとめましたので、
併せてご覧ください!
「受容」
そんな中、この夏にはちょっと足を伸ばして、
個展でのメインの作品でもあった「以心伝心」なやりとりをしてきました。

作品「以心伝心」
今回の記事ではその一部を紹介させていただきます。
「最強」は世界共通!?
彼は、プロサッカー選手を目指している大学生のルイくん。
私が書家としての活動を始めた頃に、彼の親御さんからご依頼をいただき
彼が初めて親元を離れ、サッカーに集中するための支えとなる作品をしたためてから、
ずっと応援をしています。
個展「片心」では、大学生となったいまの「心」を伺うインタビューもさせていただきました。
彼が全国高校サッカー選手権に出場した際に、彼の応援のために書いた横断幕があります。
「史上最高の未来へ」は、当時ルイくんが所属していた高校のスローガン。
これらをなんと、ルイくんのお母様がメキシコにいらっしゃるご友人ファミリーへ届けてくれました…!
今年のメキシコの夏といえば、W杯!!
現地の方々とともに、応援に使っていただいたそうで…!
「それなんて書いてあるの??」
「最高にクール!!」
「一緒に応援しよう!!」
と、大盛り上がり!!!
その熱狂の様子を写真に撮っていただきました!
スペイン語で「最強」=¡El más fuerte!
密かにスペイン語勉強中です。
以前から、いつか僕の書が海を越えて、人々の心に刻まれることを夢見ていたので、
まさに夢が叶ったようで、心が震えました…!!
メキシコでのお話を “直接” 伺ってきました!
ぜひ直接お話伺ってみたい!御礼を伝えたい!という想いでいたところ、
友人ご家族が一時帰国するというお話を伺ったので、いざ群馬・高崎へ。
いきなりお伺いしたのにも関わらず、あたたかく迎えてくださり、
2人のお子さんも交えて、メキシコでのいろんなお話を伺いました。
1日の最後には、自己紹介も兼ねて(笑)サプライズで、揮毫「零」を披露することに。
いざ、何を書こうか。珍しく少し悩んでしまいました。
楽しいご家族をまっすぐに表現した「家族」を書くか、
書とメキシコをつなぐという意味で「墨」と書くか、
(メキシコは漢字で書くと「墨西哥」)
地球の反対側ともつながる「縁」と書くか。
どれもどこかしっくり来ない中、ご両親とやりとりして互いの心を紐解いていくと、
最後の最後に、雷に打たれたように閃いたのが「橙」という文字でした。

お父さんの「志」。お母さんの「明るさ」。長男くんの「向上心」。次男くんの「着てたTシャツの色」からインスピレーションをいただきました。
お父さんはメキシコで、小学校時代以来数十年ぶりに剣道を再開し、
つい最近行われたメキシコ国内での昇段試験にて、共に稽古に励む長男くんと一緒に
初段に昇段されたというお話を伺いました…!
どうして異国の地で、再び剣道に挑戦したのか。
それは、単に剣の技術というわけではなく、
人間形成の道だと教えていただきました。
心身を鍛えて礼節を重んじる。
剣道ならではの考え方。
日本を離れたからこそ、ブランクがあっても心技体を鍛え続け、
家族を支え未来を創っていくお父さんの考えを伺って「上へ登っていく」イメージが浮かびました。
そのお父さんの影響で剣道を始めたちょっとシャイな長男くんも、剣道の話になるとまさに真剣に、そして楽しそうに語ってくれました。
同じく「道」を志す者として、純粋に応援したい!
いつかメキシコで、おふたりの剣道の稽古もぜひみてみたいです…!!
現地では学校の先生をされているお母さんはとにかく底抜けに明るくて、太陽みたいな方。
初対面の僕をあたたかく迎えてくださり、メキシコ来ちゃいなよ!というノリから
元気と勇気をいただきました!
そして、次男くんのTシャツの色。
その日着ていた服がオレンジ色でした。
結局服の色かい!と思うかもしれませんが、ちゃんと意味があっての「橙」です。
着ていたTシャツに描かれていたのは、メキシコの伝統的なお祭りでもある「死者の日」。
そんな「死者の日」にかかせないマリーゴールドの花の色でもあるオレンジは、
死者の魂を明るく迎える意味があり、現世とあの世を繋ぐ架け橋の役割を持つ
というお話を、子どもたちが教えてくれました。
今年も11月1~2日に開催された「死者の日」の様子をお裾分けしていただきました!
街がこんなにもカラフルに彩られるのですね!
僕もいつか、書で日本と世界を繋ぐ、架け橋になれるようなお仕事がしたい。
その想いをお伝えして、純粋に応援してくださった皆さんに、
感謝とこれからの希望を込めて「橙」を選びました。
まったく想像していなかった展開に、一瞬の静寂ののち
ものすごく感動していただきました…!!!
いろんな意味やタイミングも重なり、この「橙」に共感していただいたようで。
その場にいた全員の心がまさにひとつになるような体感を覚えたのが印象に残っています。
なんだか、この瞬間のために書をやっていたんだろうなと思えるくらい。
そんな”代々”語り継がれるような瞬間を、今後も書でつくっていきたいです。
ついに、映画『骨なし灯籠』の舞台へ。
続いては、熊本県山鹿市。
以前題字を書かせていただいた映画『骨なし灯籠』の舞台です。
題字を書かせていただいた時の記事はこちら!
【記事「骨なし灯籠」のリンク】
ずっと行きたくてもなかなかタイミングが合わなかったのですが、
個展のあとで、落ち着いた時間ができたので、この機会にと足を伸ばしてきました!
映画「骨なし灯籠」の木庭撫子監督ともお会いすることができ、
映画のロケ地を案内していただきながら、
街の方々とも繋いでいただいてお話をさせていただきました。
監督のご自宅の前で。街は伝統の山鹿灯籠でいっぱい!
現地のお茶屋やカフェでは、地元ならではの料理や食材をいただきながら、
作品を囲んでお話したり・・・
以心伝心、大人気!笑
祭りを1ヶ月後に控えた多忙の時期にも関わらず、灯籠師さんにもお会いすることができ
職人としての苦労とやりがいを伺って勝手に刺激をいただいたり、
映画「骨なし灯籠」の山鹿灯籠を監修されている中村潤弥さん!
突然の訪問にも関わらず、ユーモアたっぷりにあたたかく話してくださいました…!
映画の音楽を担当した志娥慶香さんも急遽駆けつけてくださり、
脚本家・音楽家・そして書家と、かなりユニークな組み合わせで
撮影の裏話や、それぞれの創作における想いを伺うなど、濃密な時間を過ごしました…!
山鹿の皆さんとは、なんだか懐かしさを感じるくらいあたたかく迎えてくださり、
映画の反響。題字に込めた想い。山鹿のまちの魅力。そして、令和八年熊本地震について。
それぞれの今の想いと、現状と、これからについて気づけば熱くやりとりさせていただきました。
この約1ヶ月後にまたすぐ山鹿に伺ったのですが…笑
そのときのお話は次の記事で!
書家としての近未来
群馬・高崎と熊本・山鹿。
それぞれの場所で、未来に繋がるお話もたくさんさせていただきました。
きっかけがあったからこそ実現した今回の訪問。
どこか運命的な繋がりも感じます…!
メキシコというほぼ地球の反対側で、奮闘されている方。
地方の街に暮らし、地元を盛り上げる、復興するべく力を注ぐ方々。
書を通して、互いの心をあらわにしてお話するなかで、より鮮明にわかったことがあります。
それは
僕のやりたいことは、ひとつ空の下にいる人たちに、書を届けること。
国内外に限らず、書を通じてやりとりをして、
自分も、相手も、自然と心ひらく瞬間を作りたい。
面と向かって話すだけでも、もちろん対話はできますが、
僕はやはり、あいだに書があることで、どこかお互いの拠り所ができる気がします。
その書の力は、人種や年齢、文化の違いを越えて、通ずるものだとも思います。
「万里一空」という言葉があります。
ひとつの目標に向かって、たゆまず努力し続ける。という意味の四字熟語。
漢字をそのまま直訳すれば、
世界中が同じひとつの空の下にあり、どこまで行っても同じ世界。
僕はそれを、書で体現したい。
以心伝心から、一意専心へ。
書家としてより一層、本心があらわれるような作品づくりを目指す覚悟ができました。



コメント